「USCPA4科目合格までの日本人の平均受験回数は?」
「受験開始した日本人のうち4科目合格するのは何%?」
「日本人の合格率の低い科目は何?」
USCPA試験に関するこれらの疑問に回答します。
サイトによってUSCPA受験データはかなりばらつきがあるように思います。
しかし試験データをまとめているのはアメリカの「NASBA(全米州政府会計委員会)」です。
NASBAのデータにさかのぼり、データの定義まで確認した上で、分析してみました。
日本人のUSCPA受験・合格の実態について言えること、推測できることを解説します。
(日本人受験者に関してのデータをまとめています。)
私の紹介を少しだけします。
TACの通信講座で学習し、2019年にUSCPA4科目合格しました。
以下が、私の4科目合格までの履歴です。
《USCPA4科目合格までの受験履歴》
①2019年3月 REG77点合格
②2019年4月 AUD74点不合格
③2019年5月 FAR80点合格
④2019年7月 BEC74点不合格
⑤2019年8月 AUD81点合格
⑥2019年10月 BEC81点合格
※USCPA4科目合格者に必要な英語力(TOEICレベル)が知りたい方は以下の記事を一読下さい。
予備校のデータからUSCPA4科目合格者と英語力の関連性を分析してみました。
子育て世帯のハードボイルド家計術
USCPAの日本人受験者のデータ概括
NASBAのデータ(2014~2016年)等から以下のようなことが、読み取れます。
(一部、推測値を含みます。)
①日本人のUSCPA受験経験者のうち最終的に4科目合格する割合
→約40%
②日本人が4科目合格するまでの平均受験回数
→8.62回
③日本人の科目別合格率
→AUD28%/BEC33%/FAR41%/REG40%
④日本人の合格率が特に低い科目
→AUD&REG
⑤最近の受験合格率のトレンド:
受験者全体の合格率は上がっている!
全世界受験者の4科目平均合格率:2014年49.7%→2020年57.7%
⑥USCPA・公認会計士・税理士の合格者数(2016年)
→USCPA369人/公認会計士1108人/税理士756人
上記①~⑥についてデータを使って解説していきます。
USCPA受験に関する使用データ
以下の「NASBAの2014〜2016年の3年間」のデータを使っています。
①NASBA USCPAレポート 2014年版
Cnadidate Performance on the Uniform CPA Examination : Juridiction Edition -2014
② NASBA USCPAレポート 2015年版
Cnadidate Performance on the Uniform CPA Examination : Juridiction Edition -2015
③ NASBA USCPAレポート 2016年版
Cnadidate Performance on the Uniform CPA Examination : Juridiction Edition -2016
データはちょっと古いですが、それ以後、NASBAがデータ公開していないためです。
(その後の各年データはUSD200程度で販売されているようです。)
1つNASBAのデータのまとめ方で特徴があります。
「受験を開始した年(暦年)ごとに受験者を一つのグループ」としてデータをまとめています。
これを理解せず、USCPA試験のデータ分析をしているサイトも結構あるように感じます。
以下に記載するデータ・数値は、「NASBAデータ(実績値)」と「NASBAデータからの推測値」です。
「推測値」の場合、「推測値であること」と「推測値計算方法」を記載しています。
「2017~2020年までの全世界の受験者全体」のデータは以下のサイトのデータを使いました。
CPA Pass Rates Updated for 2021:How Hard is the CPA Exam Really?
日本人のUSCPA受験者経験者が4科目合格するのは:約40%
おどろきの結果ですよね。
かなりの確率で4科目合格できることになります。
NASBAの2014~2016年の3年間のデータから平均値と推測値を組み合わせて計算しました。
①日本人のUSCPA受験者の内訳
USCPA受験者経験者が4科目合格する割合:42%
(USCPA受験者のうち最終的に4科目合格できない確率:57%)
少し保守的にみても、日本人のUSCPA受験者の約40%は4科目合格していると思われます。
《USCPAの日本人受験者で4科目合格した人の内訳》
①受験開始年内に4科目合格:6.02%
②受験開始翌年に4科目合格:20.86%
③受験開始翌々年に4科目合格:8.13%
④それ以降の年に4科目合格:7.42%(推測値)
上記①~④合計(受験経験者のうち4科目合格する割合):42%
→ 受験経験者のうち最終的に4科目合格できない確率:58%
上記のデータの計算根拠データは以下です。
(たいくつな議論になりますが、興味のある方はどうぞ一読ください。)
②日本人の4科目合格者の内訳
《日本人のUSCPA4科目合格者内訳》
①受験開始年内に4科目合格:14.83%
②受験開始翌年に4科目合格:48.06%
③受験開始翌々年に4科目合格:19.40%
④それ以降の年に4科目合格:17.71%
①~④合計:100%
4科目合格者のうち約80%が、受験開始から2~3年以内に合格していると言えそうです。
上記データの計算根拠データが以下です。
4科目合格年 | 合格者数 | 受験開始年合格 | 翌年合格 | 翌々年合格 | それ以降で合格 |
2014年 | 325 | 39 | 145 | 76 | 65 |
2015年 | 311 | 51 | 146 | 62 | 52 |
2016年 | 369 | 59 | 192 | 57 | 61 |
合計 | 1005 | 149 | 483 | 195 | 178 |
内訳 | 100.00% | 14.83% | 48.06% | 19.40% | 17.71% |
日本人の4科目合格までの平均受験回数:8.62回
日本人の「4科目合格までの受験回数」データです。
4科目合格年 | 受験回数 |
2014年 | 9.13 |
2015年 | 8.62 |
2016年 | 8.12 |
3年平均 | 8.62 |
2014~2016年の3年間のNASBAデータそのままです。
大半(中央値的に)は5~6回で4科目合格しているようです。
長期化している受験者が受験回数平均値を8.62回まで押し上げているようです。
受験料は一回7万円くらいします。
念のため8回分くらいの予算(60万円程度)は見ておいた方がよいかもしれませんね。
以下で説明しますが、傾向的に受験者全体の合格率は年々上がっています。
直近の日本人の受験回数は8.62回よりも少ない回数になっている可能性は高いです。
「全受験者」よりも日本人の平均合格率は低い
「全世界の受験者全体」と「日本人」の「各科目合格率(2014年~2016年3年平均値)」の比較表です。
AUD | BEC | FAR | REG | |
受験者全体合格率 | 46.33% | 54.97% | 46.50% | 48.63% |
日本人受験者合格率 | 28.70% | 33.07% | 41.27% | 40.10% |
合格率GAP | 17.63% | 21.90% | 5.23% | 8.53% |
受験者全体と比較すると日本人はすべての科目において合格率が低いです。
全体合格率と比較して日本人合格率は5%~21%低いです。
計算中心のFAR、REGの日本人合格率は全体合格率と比較し、さほど低くはないです。
私の感覚としてもFAR、REGは日本人でも順調に合格できているように思います。
日本人はAUD(28.70%)、BEC(33.07%)の2科目の合格率が特に低いです。
私も恥ずかしながら、AUD、BECでそれぞれ1回づつ不合格になったことがあります。
日本人は特に「AUD」「BEC」の合格率が低い理由
AUD、BEC合格率が低い理由は一言でいうと「英語力の問題」です。
あたりまえかもしれませんが。。。。。
①日本人のBEC状況(2016年NASBAデータ)
日本人のBECの平均点は70.5点と高いです。
しかしWritingセクション(英語論文セクション)は得点率12.7%。
ダントツにこのセクションの得点が低いです。
日本人がBECで合格率が低いのは、「英語論文セクションができない」という理由に尽きます。
《2016年日本人BECデータ》
日本人受験者数 | 合格率 | 平均点数 |
1033人 | 37.2% | 70.5 |
BEC セクション | 得点率 | |
① | Corporate Governance | 46.9% |
② | Economic Concept and Analysis | 65.9% |
③ | Financial Management | 69.4% |
④ | Information Systems | 50.5% |
⑤ | Strategic Planning | 69.8% |
⑥ | Operations Management | 67.2% |
⑦ | Writting | 12.7% |
②日本人のAUD状況(2016年NASBAデータ)
日本人はAUDがもっとも合格率が低いです。
何度も不合格になる人がけっこういます。
AUDは学習ボリューム的には少ないです。
しかしAUDは問題を読み解く「英語の読解力」が要求されます。
《2016年日本人AUDデータ》
日本人受験者数 | 合格率 | 平均点数 |
1002人 | 29.0% | 66.9 |
AUD セクション | 得点率 | |
① | Understanding the Engagement | 43.0% |
② | Understanding the Entity | 38.8% |
③ | Procesure and Evidence | 43.4% |
④ | Evaluation and Reporting | 47.3% |
⑤ | Accounting and Review Services | 62.6% |
⑥ | Professional Responsibilities | 33.0% |
⑦ | SIM | 47.5% |
AUD、BECの試験対策について以下の記事を書いています。
興味ある方はご一読どうぞ。
子育て世帯のハードボイルド家計術
USCPAの全体合格率は年々、高くなっている
全世界の受験者全体の合格率データです。
実は年々、合格率が上がっています。
AUD | BEC | FAR | REG | 平均合格率 | |
2014年 | 46.4% | 55.5% | 47.6% | 49.4% | 49.7% |
2015年 | 46.7% | 54.0% | 46.3% | 48.1% | 48.8% |
2016年 | 45.9% | 55.4% | 45.6% | 48.4% | 48.8% |
2017年 | 48.6% | 53.0% | 44.4% | 47.2% | 48.3% |
2018年 | 51.0% | 59.4% | 46.2% | 53.2% | 52.4% |
2019年 | 51.0% | 60.0% | 46.3% | 56.3% | 53.4% |
2020年 | 52.8% | 65.6% | 50.0% | 62.3% | 57.7% |
以下、2014年と2020年の比較です。
なんと7年間で4科目平均合格率が約8%も上昇しています!!
AUD | BEC | FAR | REG | 平均合格率 | |
2014年 | 46.4% | 55.5% | 47.6% | 49.4% | 49.7% |
2020年 | 52.8% | 65.6% | 50.0% | 62.3% | 57.7% |
GAP | 6.4% | 10.1% | 2.4% | 12.9% | 7.9% |
日本人のデータがないのですが、日本人も同様に合格率が高くなってきている可能性があります。
公認会計士・税理士・USCPAの合格者数
各会計試験の合格者人数のデータです。
残念ながら2017~2019年のUSCPAの日本人合格者のデータはないです。
会計資格 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
USCPA4科目合格者 | 325 | 311 | 369 | ? | ? | ? |
公認会計士合格者 | 1102 | 1051 | 1108 | 1231 | 1305 | 1337 |
税理士5科目合格者 | 910 | 835 | 756 | 672 | 794 | 648 |
直近のUSCPA4科目合格者は年間350~500人くらいではないでしょうか。
USCPA4科目合格者は、公認会計士、税理士と比較してまだまだ少ないと言えます。
まとめ
①USCPA試験のデータについていろいろなサイトがありますが、けっこう数字が違います。
日本人にとってUSCPA試験の実態はどうなのか混乱する人も多いでしょう。
しかしどのサイトでも情報ソースはほぼ「NASBAのデータ」のみです。
NASBAのデータをさかのぼり、データ定義を確認したうえで、日本人のUSCPA試験データを再確認してみました。
②日本人のUSCPA受験経験者のうち最終的に4科目合格する割合:約40%
2014~2016年NASBAデータから、私の推測値は43%です。
保守的に見て約40%としています。
受験者全体の合格率は継続的に上がり続けています。
日本人の合格率も直近年ではもっと高い可能性があります。
③日本人4科目合格するまでの平均受験回数:8.62回
2014~2016年3年間のNASBAデータでは、4科目合格までの「日本人平均受験回数」は8.62回です。
中央値的には5~6回の間くらいと思われます。
全体の合格率が継続的に上がっています。
直近年では、4科目合格までの日本人の受験回数もさらに少なくなっていると思われます。
④日本人の科目別合格率:AUD28%/BEC33%/FAR41%/REG40%
全世界の受験者全体と比較して日本人の平均合格率はすべての科目で低いです。
⑤日本人は特にAUGとBECの合格率が低い。
一言でいうと「英語力の問題」です。
BECはWritting(英語論文)のセクションで日本人は点数が取れないためよく不合格になります。
AUDは学習のボリューム的には少ないが、「英語の読解力」が要求されます。
⑥受験生全体の合格率は年々高くなってきている。
2014年と比較し2020年の受験生全体の合格率は約8%上昇しています。
日本人の合格率も上がってきている可能性が高いです。
年々、合格しやすい試験になっている可能性が高いです。
⑦公認会計士、税理士に比較し、USCPA4科目合格者はまだまた少ない。
USCPA4科目合格者は毎年350~500人くらいだと思われます。
公認会計士、税理士の合格者と比較し、まだまだ少ないといえます。
⑧USCPAは必要な勉強すれば受かる試験である。
USCPAの日本人受験経験者の約40%が4科目合格していると思われます。
学習範囲も広く、深い理解が要求される分野もあります。
USCPAは簡単な試験ではないです。
しかし公認会計士、税理士と比較して、USCPAは圧倒的に受かりやすい試験だと思います。
とくに「英語が得意な人」には非常に有利な試験です。
日本にもっともっとUSCPA合格者が増えてほしいと強く願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
※USCPA4科目合格者に必要な英語力(TOEICレベル)が知りたい方は以下の記事を一読下さい。
予備校のデータからUSCPA4科目合格者と英語力の関連性を分析してみました。
子育て世帯のハードボイルド家計術
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